4月20日に飯島真理が自分で選曲したベスト盤"The Ultimate Colllection"が2枚リリースされました。ベスト盤と言いながらも「定番」の曲が結構外れています。ソングライターである本人の思い入れが選曲の基準になっているからです。とはいえ、通して聴くと、選曲に筋が通っています。シンガーソングライターとしての「ラブソング」の軌跡、というところでしょうか。
彼女自身の手によるライナーノーツが収録されています。その中でのこれまでリリースしてきたの20枚弱のアルバムへの自身による評価が実に的確なのがとても印象に残ります。
僕は、10代の半ばから20歳頃にかけて、彼女を歌を本当に良く聴いていました。声が好きというが一番の理由。Cuteだと思う。また、サウンドの嗜好がかなりマッチしたことも大きい。しっかりとアレンジしてしっかりとした演奏でレコードが作られています。それと、「胸キュン」ソングを作らせると天下一品で、宝石箱のようにキラキラした楽曲が沢山あるというのも要因です。彼女が結婚する頃(1989〜1990)までの歌は特に素晴らしい。もちろん、それ以降の「大人の歌」もそれはそれで印象的ですが、「好きか?」と問われると正直難しい。
1983年〜1985年のビクター時代の作品群から選んだ"The Ultimate Colllection(1983-1985)"。
当時10代だった飯島真理が書いたCuteな楽曲を、坂本龍一が見事にアレンジし、東京を代表する腕利き達が豪華に料理したデビューアルバム"Rose"から2曲収録されています。かなり凝ったリズムのアレンジになっている「ガラスのコビン」と僕が大好きな「ひまわり」が選ばれています。「ひまわり」は「ひまわりは一見派手だけど、実は結構孤独」ということを歌った歌。サウンド時には大村憲司のギターソロが素晴らしい。
松本隆が詞をつけた「1グラムの幸福」と「セシールの雨傘」。自作自演で活動している彼女としては、レコード会社の意向で超大物作詞家に詞を依頼する形になったことに複雑な思いがあったはずですが、純粋に2曲とも名曲だと思います。(一番最初に世に出たという意味で飯島真理のデビュー曲とすることができる「夢色のスプーン」(「スプーンおばさん」の主題歌)も松本隆作詞です。)
プロデューサー吉田美奈子の色にちょっと負けてしまった気もする2nd"blanche"からは「シグナル」と「シンデレラ」。"blanche"は「白」というタイトルそのままの透明感のある佳盤だと思います。
そして、「愛・おぼえていますか」。安井かずみ・加藤和彦コンビによる、超名曲で、飯島真理の最大のヒット曲。飯島真理を声優だと思っている人は沢山いると思うのですが、「違います」。たまたまデビューを予定していたシンガーソングライターが声優の仕事を一回だけした、というのが正しい。たまにCDショップで飯島真理のアルバムが「声優コーナー」にある時あるんだけど、それは止めてほしいなー。とはいえ、「天使の絵の具は」は映画のエンディングを想起させてくれます。飯島真理がいなかったら、ミンメイもいなかったはず。
3rdアルバム"midori"。清水信之によるキラキラしたアレンジ満載の一枚からは4曲がチョイスされています。「いつものパーティー」は杉真理のコーラスの付け方が最高。計算しつくされた演奏の上に20代前半の女の子らしい詞が乗る「ひとりぼっちが好き」と「恋はきままに」。そして、大学でピアノを専攻していた彼女ならではのInstrumental「もののかたち -MARRON-」。たまにテレビ番組でBGMでかかってます。
Londonで制作された4thの"Kimono Stereo"からは「瞳はエンジェル」「名前のないアベニュー」「3つのルール」の3曲。彼女は88年以降、LAでレコードを作り続けていて、それらの作品と比べると明らかにLondonっぽい。カリフォルニアの明るい太陽と青い空ではなく、曇ったロンドンの空の下で作られた楽曲達。Max Middeltonのキーボードがサウンドの鍵になっています。
もう一枚は1987年〜1999Moon〜Waner在籍時の作品群から選んだ"The Ultimate Colllection(1987-1999)"。
こっちは10枚以上あるオリジナルアルバムからだいたい1曲ずつで、やっぱりちょっと物足りないというところもあります。今年になってから紙ジャケットで再発された、"Coquettish Blue"(1987)、"Miss Lemon"(1988)、"My Heart in Red"(1989)の3枚は、とっても元気で、そしてミュージシャンとしての着実な成長を感じさせてくれる作品群です。これと"It's Love Thing"(1990)の4枚からで1枚、それ以降のアルバム群で1枚くらいだとちょうど良いかなと思ったりします。
"Coquettish Blue"はレーベルを移籍し自分の力を試したいというのがひしひしと伝わってくる一枚。全編に渡って飯島真理のキーボードプレイが聴けるのもポイント。"Miss Lemon"は前作と一変、LAでの非常に良い出会いがそのまま勢いとなって現れた一枚。その流れを引き継いだ"My Heart in Red"。僕はこのアルバムに収録されている、Drums:Jeff Porcaro、Bass:Nathan Eastのリズムコンビによる"Send Love to Me"が大好きです。
その後のアルバムは、うーん、多分、それまでの真理さんの作品群がなかったら、多分聴かないかもしれない。1996年の"Good Medicene"はロック食の強いバンドサウンドでまとめられていて、結構お気に入りではありますが。
ビクター時代のと比べるとあまり書けないな。。
2枚のベスト盤の発売と同時に、1990年10月に中野サンプラザで行ったライブを収録した"Something Special Live '90"がDVDで再発売されました。なんせ、実際にその日に会場にいましたからね。思い出深いですよ。実はボーナスで入っている「鏡よ鏡」のPVは、今回初めて見ました。時代を感じさせるつくりですが、Miss Lemonの頃の勢いが映像に現れてますね、やはり。
いやぁー、長々と書いてしまいましたね。僕がかなり熱心なファンであることは最低わかってもらえたかと思います。