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フジサンケイグループをいうメディアグループがどうやって形成されていったかを鹿内家とフジテレビの日枝会長を軸に描いた渾身のノンフィクションです。昨年、出たノンフィクションの中で、1番じゃないかな。

当然のことですが、株式会社において「株」が持つ絶大なパワーを改めて認識させてくれる1冊。そして、メディアグループってなんなんだろう?ということも考えさせてくれます。ラジオ局やテレビ局が開業したころのいい加減さや台場になんであのようなフジテレビ社屋が建ったのかについても良くわかります。

帯を見ると、間違いでしまいそうですが、堀江貴文氏率いるライブドアによるニッポン放送買収騒動を解説した本ではありません。でも、なぜライブドアがニッポン放送株に目をつけたしのかはとっても良くわかります。

以下、あえて注文を。

2巻組なんですが、章ごとに時間の流れや焦点を当てている事象が悪い形で行ったり来たりしまっている点が残念です。もう少し整理できれば、もっと良くなったのではないでしょうか。10年以上取材を積み上げたものが出版されるということで、いろいろ詰め込みたい気持ちが本の構成に色濃く出ています。その気持ちは理解はしますが、どうなんでしょう、「鹿内信隆個人に焦点を当てた人物研究」なのか、「フジサンケイグループと鹿内家の関係が、現在に与えている様々な問題を整理する」なのかが、とても曖昧です。

前半は鹿内宏明議長解任劇の迫真ドキュメント、中盤は、鹿内信隆立志伝、最後は鹿内春雄がフジテレビをどのように改造したかが描かれます。全体を通じて日枝久がそれぞれの時代でどのように立ち回ったかが描かれており、結局、日枝さんがいないとあんまりつながらない感じです。

あと、もうちょっと写真があると良いですね。とにかく沢山の人物が登場しますが、顔が浮かばないと結構つらいです。描かれている当事者達に対して好意的な内容ではないので、写真を掲載するにしても、なかなか難しいとは思いますが。。他にも、例えば、家系図を入れるとか、取り上げられている企業の役員一覧を作ってみるとか、もうちょっと踏み込んでみるともっと読みやすいかなーと。

この本を読むと、NHKという放送局があることの意味・価値が逆説的に見えてくる気がします。

R25 x JPRS

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「R25 x JPRS」、東京、神奈川、埼玉、千葉の駅を中心に、絶賛配布中。

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中吊り@東京メトロ

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夏目漱石の『三四郎』が由来となり、三四郎池という呼び名となった、本郷の心字池。
葉が色づいて鮮やかです。今年は紅葉がとても遅いです。

先日、私の大学院の時の指導教授である小此木政夫先生(慶應義塾大学法学部長)の、学部のゼミのOB会主導で行われた還暦記念パーティーがありました。200人以上が出席する、とても盛大な会でした。

会の途中で、"News Station"に先生が出演した日の映像が「お宝映像」として披露されました。1987年の韓国の大統領選挙の現地取材を敢行し、その映像を見ながらスタジオで選挙の行方を占うという内容です。久米宏氏が若く元気なことも印象に残りましたが、それ以上に、金泳三氏への車中取材や農家の老婦人への街頭インタビュー、演説会に集まった支持者へのインタビューなど、記者顔負けの迫力で精力的に取材を行っている小此木先生の姿が新鮮でした。

この会にタイミングを合わせ、小此木先生から直接教えを受けた門下の有志15名による、還暦記念論集が上梓されました。
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「朝鮮半島と国際政治 冷戦の展開と変容」
鐸木昌之・平岩俊司・倉田秀也編(慶應義塾大学出版会)

先生がパーティーの挨拶でこの記念論集について「自分の学問的伝統が受け継がれるということを意味するもので、とてもうれしい」とおっしゃっていました。研究の道に進んだ先輩方にとっては、これほどうれしい言葉はないのではないかと思います。

ちなみに、私も初回印刷分の一部についてくる付録冊子の中の「小此木政夫教授研究業績一覧」の編纂で記念論集に参加させてもらいました。(この業績一覧は自慢できる作業だと自分では思ってます)

盧武鉉政権について日本語で書かれた文章というのは、金大中以前の歴代大統領と比べるとそれほど多くないように思います。

理由は、3つあるのではないでしょうか。1つ目は、盧武鉉という人自身が日本との接点がほとんどないこと。2つ目は、韓国のことを語るにあたり、現職大統領の動静に代表される政治的な話題の占める位置が過去と比べ相対的に下がったこと。3つ目は、日本の政界、官界、メディア、学会が盧武鉉政権をどう評価すべきでとまどっていること。

玄武岩さんが書いたこの著作を読むと、3つ目の理由がなんとなくわかってくるのではないでしょうか。日本の新聞、テレビの従来の報道から想像される、盧武鉉政権及びその支持者のイメージとはちょっと違う盧武鉉及び支持者像を知ることになり、とまどう原因が浮かび上がってきます。この点で、非常に価値がある一冊です。

日本のメディアが韓国報道を行う際にかなりの部分を依拠している、朝鮮日報、東亜日報、中央日報は「反盧武鉉論陣」を張る守旧勢力であるため、これらのメディアの報道からは実情を正確に把握することはできず、この5年程で急成長し、盧武鉉を大統領に当選させるまでの力を持つようになった「インターネット言論」を通じてこそ、現在の韓国の状況を正確に把握できる、ということの証明をこの本は行おうとしています。(ただし、私はこの考えに全面賛成しませんが)

苦言を呈するとすれば、前提が盧武鉉政権支持なので、もう少し、第三者的視点が欲しいところでしょうか。例えば、反日勢力を糾弾することの歴史的意義など、もっと冷静な筆致で分析してみても良いように思います。これらの点をまったく素通りというのは、新書とはいえ、研究者の書いた本としては、物足りなさを感じます。

また、今の状況を理解するのに「オンライン・デモクラシー」という切り口が本当に正しいのかは、この本を読んだだけでは私は、確信は持てず、逆に、「オンライン」で繰り広げられているのは、従来から語られてきていた韓国の政治文化の表出の一形態に過ぎないのではという疑問を持つようになりました。

つまり、「インターネットによって世の中が変わった」のではなく、「世の中がインターネットを取り込んだ」だけなのではないかという疑問です。

自分なりに更にこの点、考えていきたいと思います。

戦後の漢字政策、特に人名用漢字を巡る議論の変遷をおさらいできる一冊。特定の主義主張に則って書かれていない点に非常に好感を持ちました。「歴史を知る」という感じ。

易しい漢字のみを使うようにすることが日本の民主化につながるという信念で制定されたのが「当用漢字」。「当用漢字」ではない漢字は平易ではないから人名に用いてはならないという、今、考えると、行き過ぎのような時期がしばらくあり、段々と使える文字が増えるようになり、さらに、時代が下る事情がますます複雑化し、結果的には名前に用いて良い漢字は増え続けます。とはいえ、「制限をする」という原則は現在も守られているわけです。

やはり、電子計算機で日本語が扱えるようになったことが決定的な違いをもたらしたように思います。このことが私たちの「漢字感覚」を大きく変化させました。コンピュータにキーボードで入力して日本語変換をかけるとものすごく沢山の漢字が出てくるわけです。これでもかというくらい。「当用漢字」を懸命に制定した方々がこの時代状況を知ったら、どう思うのでしょうか?

僕は、世界でいろんな種類の漢字があることに、今、一番興味があります。日本の「新字体」「旧字体」から、大陸で共産党が制定した簡体字、台湾や香港で使われている繁体字、韓国の漢字はこれらとちょっと違っているし、他にも多分あるんでしょうけど、これだけあると「文字」の持つ一意性ってなんなんだろうって、考えさせられますよね。形が違うのに「同じ字」だったりするわけです。

まだまだ耳学問レベルなので、これから少し修業しようと思っています。その初歩として、とても面白く読んだ一冊です。

Invitaion(ぴあ)

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僕が愛読している雑誌、それは、ぴあが発行している"Invitation"。最新号で30号となりました。

雑誌というメディアとして、情報を発信していこう、大衆文化のパトロンになっていこうとする心意気が感じられるところが大好きです。取り上げるテーマ・登場する人が多岐に渡っており、その守備範囲の広さが僕は大好きです。

特定のアーティストとのコラボレーションを図る雑誌とも違っていて、あくまでも、自分(="Invitation")が表現者になるのではなく、表現者をサポートするツールとしての雑誌という立場を貫いているように思います。

雑誌として一番力を入れているのは、日本映画界の後援。これまで組まれた特集の中で一番回数が多いことでも明らかです。ポイントは、「日本映画」ではなくて「日本映画界」。

記事なんだか広告なんだかわからないページばかりの雑誌がとても多い中、Invitationは、ほとんどが記事で、記事それぞれも内容があるので、一冊読むと、とても得した気分になります。

毎号のMovie、Book、Music、DVD、Art、レビューのバランス感覚が良いです。今は宣伝担当者や代理店とメディアがとても近いので、情報誌の「レビュー」は取り上げられるものが似通っていて、しかも、書いてある内容も全然役に立たない傾向があります。そのようなところとはInvitationは一線を画している気がします。取り上げるものについては、かなり、評者の癖が反映されているものの、押さえるべきところは押さえられており、これは、編集側の料理の腕前が成せる技かなと、思います。

ファッションの記事もあるし、車の記事もあるし、料理の記事もあるし、企業のoffice訪問もあるし、有名人のお宅訪問もあるし、テレビ業界関係者インタビュー(by後藤繁雄)もあるし、グラビアもあるし、やっぱり、"Invitation"みたいな雑誌を「総合文化誌」と呼ぶべきだと思う今日この頃です。

村上龍の書き下ろしの大作(1650枚)「半島を出よ」、読み終わりました。(正確には数週間前に読了)

カバーが良いですね。文庫ではこうはいかない。カバーを外すとハングルでタイトルと作者名が書いてあります。こういうところから、作り手の心意気を感じることができます。

50万部も売れているだけあって、単行本を通勤電車で読んでいる姿をかなり目撃しました。だいたいが、30代〜40代男性。村上龍を読みそうな人達。「なるほどねー。」と。残念ながら、意外な光景はまだ目撃していません。

それほど小説を読まないからか、思ったより時間がかかってしまいました。うーん、登場人物が多いからかもしれない。

村上龍は「愛と幻想とファシズム」を80年代中頃に書いていますが、乱暴に大別すると、この系統の作品なのかなと思ってるんですが、どうなんでしょう?(熱心な村上龍の読者ではないので、かなり適当)

北朝鮮のことを非常にしっかりと調べてた上で書いていて、そこがこのフィクションのノンフィクション色を高めている最大の理由のように感じます。参考文献一覧を見ると、まんべんなく基本文献をあたっていることがわかります。きちんと調査した上で書いているので、作品に厚みが出ています。

福岡ドーム周辺にまだ行ったことないので、行った際は、この小説で詳細に描写されている姿と実際の様子を照らし合わせることになりそうです。

僕は爆弾や銃や虫にそんなに興味ないからなのかもしれませんが、兵器や動物の詳細な描写はちょっと冗長。

一番、面白く読んだのは、東京と福岡の役所やメディアの繰り広げられる事態の描写。村上龍の権力観が満載の描写が続くので、面白い。

「昭和歌謡大全集」(未読)にも登場した少年たちの描写は、途中までかなり退屈でしたね。一番最後まで行くと、分量を割いている理由がわかるのですが。。とはいえ、最後の少年たちの描写はアクション映画さながらでいけてると思います。

今年最大の話題作、問題作であることは間違いないと思います。

新書

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またやっちゃった。
棚を見たら、同じ本があった。。うわぁー。

ところで、新書って、岩波と中央公論と講談社が老舗ですが、この10年の間に各社が参入して、ホントに増えましたね。似たような本を違う著者で各社で出すことになっちゃってます。

「英語」「朝鮮半島」「中国」いうテーマの本は、各新書に必ずありますよね。いろんな人に執筆のチャンスがあるという意味では良いことですが、なんか、企画が安易な気もしなくもない。

聞くところによると、新書は、40代〜50代の男性が購入層の大多数で、最近は、「教養書」よりもHow to系の「入門書を読むための入門書」が増えているらしい。これは確かにそうだと思います。

まぁ、点数が増えるのは悪くないですが、すぐ絶版にならないようになってほしいです。

面白いです、とても。
「ダーリンは外国人」小栗左多里さんトニー・ラズロさんによる一冊。

「作:トニー・ラズロ、絵:小栗左多里」というのが正しいような気もする。言葉について、いろいろと考えさせられます。

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