フジサンケイグループをいうメディアグループがどうやって形成されていったかを鹿内家とフジテレビの日枝会長を軸に描いた渾身のノンフィクションです。昨年、出たノンフィクションの中で、1番じゃないかな。
当然のことですが、株式会社において「株」が持つ絶大なパワーを改めて認識させてくれる1冊。そして、メディアグループってなんなんだろう?ということも考えさせてくれます。ラジオ局やテレビ局が開業したころのいい加減さや台場になんであのようなフジテレビ社屋が建ったのかについても良くわかります。
帯を見ると、間違いでしまいそうですが、堀江貴文氏率いるライブドアによるニッポン放送買収騒動を解説した本ではありません。でも、なぜライブドアがニッポン放送株に目をつけたしのかはとっても良くわかります。
以下、あえて注文を。
2巻組なんですが、章ごとに時間の流れや焦点を当てている事象が悪い形で行ったり来たりしまっている点が残念です。もう少し整理できれば、もっと良くなったのではないでしょうか。10年以上取材を積み上げたものが出版されるということで、いろいろ詰め込みたい気持ちが本の構成に色濃く出ています。その気持ちは理解はしますが、どうなんでしょう、「鹿内信隆個人に焦点を当てた人物研究」なのか、「フジサンケイグループと鹿内家の関係が、現在に与えている様々な問題を整理する」なのかが、とても曖昧です。
前半は鹿内宏明議長解任劇の迫真ドキュメント、中盤は、鹿内信隆立志伝、最後は鹿内春雄がフジテレビをどのように改造したかが描かれます。全体を通じて日枝久がそれぞれの時代でどのように立ち回ったかが描かれており、結局、日枝さんがいないとあんまりつながらない感じです。
あと、もうちょっと写真があると良いですね。とにかく沢山の人物が登場しますが、顔が浮かばないと結構つらいです。描かれている当事者達に対して好意的な内容ではないので、写真を掲載するにしても、なかなか難しいとは思いますが。。他にも、例えば、家系図を入れるとか、取り上げられている企業の役員一覧を作ってみるとか、もうちょっと踏み込んでみるともっと読みやすいかなーと。
この本を読むと、NHKという放送局があることの意味・価値が逆説的に見えてくる気がします。



